くんえん材って、
木にやさしいから人にやさしい
我々が住むこの石見地域(島根県西部)で、同じ年月・四季を過ごし、風雪に耐えて生き抜き成長した石見の地域産材を、我々の手で燻煙(くんえん)熱処理し、「石州くんえん材」としてみなさんに提供します。
●「石州くんえん材」って何?
“くんえん材”とは、文字通り煙と熱によっていぶすことによる乾燥方法により処理された木材です。
熱源には、製材残材や木の皮を利用します。近年、化石燃料の使用量の増加が地球温暖化を招いているとされていますが、“くんえん材”は乾燥する熱源に重油・灯油等の化石燃料を使用しないため、地球環境にやさしい木材ということができます。
●ヴァーテックスのくんえん庫(所有は石央森林組合)
木材をくんえん熱処理するために、原木(丸太)用と製品用の2つの“くんえん庫”でくんえんします。
原木用(写真)は設計容量が50m3ですが、経験上20〜25m3の量が仕上がりが良いため、そのくらいの量ずつくんえんしています。
製品用も設計容量が50m3です。50m3というと、4メートルの床板等の製品が3ブロック入る容量です。もっと具体的にいうと、4メートル座板で240坪分、バチ板で3,000枚程度処理することができます。
●くんえん材のつくり方
まず最初に、原木(丸太)をくんえん庫に入れて煙と熱をかけます。一般的な乾燥機では製材品を乾燥させますが、くんえん処理方法では原木(丸太)のまま処理も行います。また、スギ、ヒノキ、マツといった樹種や季節・天気といった気象条件によって仕方を変えています。
例えば、スギ丸太のくんえん方法についていうと、庫内温度を60〜80度に上げ、5〜7日かけて仕上げます。
丸太が熱い温度に身をさらすこの作業は、まるで丸太が“サウナ”に入っているみたいですね。サウナといえば人間では痩身効果が期待されますが、丸太も一緒で、この処理をすることで、丸太の含水率がさがり、丸太を“締める”効果があります。直径30センチの丸太であれば、約2センチくらい径が小さくなります。
【庫内温度・期間表】
| |
庫内温度(度) |
期間(日) |
| ス ギ |
60〜80 |
5〜7 |
| ヒノキ |
60〜70 |
2〜3 |
| マ ツ |
80〜100 |
5〜7 |
次にくんえんされた原木(丸太)を1次製材します。そして、その1次加工品(荒材)を再びくんえんします。荒材とはいえ、皮付き丸太と違い大変デリケートな状態です。それゆえ、くんえん材生産当初においては温度管理等で大変苦労しました。
現在では、庫内温度40〜45度と、丸太くんえんがサウナなら、この製品くんえんはまさに“お風呂”のような温度で仕上げます。この温度で、薄板で7〜10日、厚板では13日程度のくんえん熱処理をした後、仕上げ加工(2次製材)して皆さんのお手元に届く製品となります。
●生きている木にやさしい乾燥を
木材と炎と煙をコントロールして乾燥させるくんえん熱処理。密閉された庫内に熱を伝えると温度は上昇しますが、高温にしすぎると、木材の細胞が完全に壊れ、艶がない“死んだ木”になってしまうと言われています。また、温度が上昇すると、一方で湿度(しつど)は低下していきます。湿度が下がりすぎると木材はワレ(割れ)が多く入り商品価値がなくなってしまいます。
このような点に留意しながら、温度を管理し、温度については人間が快適と感じる湿度と同じ40〜50%になるように、燃焼させる材料の樹種・乾燥具合・形状を1時間ごとに観察しながら材料を吟味し焚きつけています。同時に吸気口・排気口・ファン(庫内の空気を循環させる役割)のそれぞれの微調整を行いくんえん庫をコントロールしています。
燃料となる製材残材は1日200〜500キログラム使用します。燃料となる製材残材は天日乾燥してある程度含水率を下げ、燃焼時に生じる水分の蒸発を押さえ熱量を上げる工夫をしています。自然の恩恵を上手にいただくための一手間です。
●安定した製品を生産するために
このような工程をえて、もともと丸太のときに120〜130%あった含水率は、最終的には10%台まで下がります。
いくら生きた木が良いとはいえ、足が引っかかるくらい床板が反ったり、柱が曲がったりしたのでは住んでいる人はたまったもんではありません。そうならないためには、このように製品時の含水率を下げる必要があります。
ヴァーテックスでは、現在、すべての原木(丸太)をくんえんした後、製材加工しています。また、製品の90%は、荒材をくんえんする2次くんえん熱処理されたものです。
【含水率表】単位は%
| |
原木
(丸太) |
1次くんえん後
(荒材) |
2次くんえん後
(製品) |
| ス ギ |
120〜130 |
60〜70 |
10%台 |
| ヒノキ |
70〜80 |
30〜40 |
10%台 |